『人気セレクトショップ紹介』企画、英国流ラグジュアリーアイテムを取り扱う『BRITISH LUXURY BRAND GROUP (BLBG)株式会社』が運営するセレクトショップ『ヴァルカナイズ・ロンドン(VULCANIZE London)』へインタビューにお伺いしました。
今回インタビューを引き受けてくださったのはMD(マーチャンダイザー)兼バイヤーをご担当されている金子昌史さん。
本インタビューでは、バイヤーのお仕事やこだわり、セレクトショップ『ヴァルカナイズ・ロンドン』について金子さんより貴重なお話頂きました。
-最初に、金子さんのご経歴と現在のお仕事内容をお伺いできますか?
金子)
ファッション業界一筋です。
学生の頃から、もともとは自分は音楽がとても好きで音楽系の学校に通っていました。
学生生活中に海外研修で初めてロンドンに行く機会がありました。
音楽と言えばイギリスのロックミュージックも人気ですし、音楽機器もイギリス製が多く、音楽関係の研修ではロンドンへ行くことも多いんです。
初めて行ったロンドンでは多くの刺激を受けたことを今でも思い出します。
ロンドンの建築物や街並み、通りすがりのロンドナー達もすべてがスタイリッシュに見えました。
中でもスーツスタイルのイギリス人は自分のイメージの中にある古くさいものではなく、とてもモダンな印象で、それをきっかけに英国ファッション、特にドレスに興味を持ちました。
帰国後は早速ファッション業界を中心に就職活動をはじめ、販売員としてスタートしました。
幸運なことに入社後すぐに店長を任されていましたね。
-1年目から店長だったんですね!
金子)
たまたまだと思います。(笑)
職場では夢であったスーツを取り扱っていました。
接客をしているうちに、更にスーツに興味が沸き、その後オーダースーツを取り扱う代理店へ転職をしました。
-当時はよりスーツに関連する仕事に就きたくて転職したのですか?
金子)
はい、もっとスーツの勉強がしたくて、どんどんスーツの奥深さにのめり込んでいきました。
スーツをはじめ、メンズファッションの源流は英国というのもあり、当時の会社でもほとんどイギリスブランドしか取り扱っていなかったと思います。
仕事をしているうちに、弊社(BLBG株式会社)代表の田窪とたまたま会うことがあって。
-たまたまですか!?(笑)
金子)
たまたまですね。(笑)
当時、丸の内にヴァルカナイズ・ロンドンのお店があったのですが、働いていた会社も丸の内にあり、声をかけられたんです。
何回か食事をするうちに「そろそろうちで働いてみないか?」と言われて、ヴァルカナイズ・ロンドンへの転職を決めました。
-なぜ現職への転職決意したのですか?
金子)
ヴァルカナイズ・ロンドンは今ほど取り扱いブランドも多くありませんでしたが、サヴィル・ロウやジャーミン・ストリートで100年以上続く、伝統のあるブランドが多かったのです。
代表から「そろそろ本物を扱ってみなよ!」と言われて、心が動かされたのです。
ちょうどその当時の自分は「本物とはなんだ?」と考えるようになっていましたから。
ヴァルカナイズ・ロンドンで取り扱っている傘ブランド『フォックス・アンブレラ』は入社する前から使っていて、すでに知っていたのも大きいかもしれません。
例えば、傘ってコンビニでも扱っていますよね。傘の歴史をたどってみると『フォックス・アンブレラ(FOX UMBRELLAS)』に辿り着くんですよね。
フォックス・アンブレラの傘を見てもらった方が早いと思います。
(傘を指して、)傘の骨ってU字になっているのわかりますか?
溝になっていますよね。
ただの鉄の棒だと広げた時に折れてしまいますが、ゆるやかな曲線にすることで折れないようにしたのはフォックス・アンブレラなんですよ。
昔、傘地ってシルクや、布に獣の油を染み込ませたオイルドコットンしかなかった時代に当時の最先端素材であるナイロンの生地を採用したりとか、今では当たり前になっている現代傘の礎を築いたブランドなのです。
今年で創業150年目を迎えるフォックス・アンブレラは、創業当時からかなり革新的なことをやっていたのです。
歴史を聞くだけで「ああ使ってみたいな」ってなるんですよね。
そんな本物が揃うヴァルカナイズ・ロンドンに魅力を感じて働きたいなと思って入社を決めました。
-いつからバイヤーのお仕事をされていますか?
金子)
最初店頭からスタートして、数年後には、バイイングの仕事を手伝い始めました。
その後、本格的にバイヤーのキャリアをスタートさせました。
-どうしてバイヤーのお仕事に興味をお持ちになったのですか?
金子)本物の商品に対するこだわりが強くなってきたのがきっかけです。
もともと商品に対する愛着が強かったのも影響していると思います。
-バイヤーのお仕事についてお伺いできますか。
金子)
ヴァルカナイズ・ロンドンは英国アイテムしか取り扱っていません。
接客していて、もっとこういうものをお客さまに届けたいという思いが強くなりました。
売り場を経験したバイヤーは、お客さまのニーズを把握していることが多いので、アイテムの買い付け方が変わってくると思います。
バイヤーはセンスも大切なのですが、お客さまのニーズをしっかり掴んで、お客さまが喜ぶ顔を思い浮かべながら商品を買い付けることが、良いお店作りには欠かせないですね。
お店によっていろいろとスタイルが異なります。
ドレススタイルなのかカジュアルスタイルなのか。
一番良いのはバイヤー自身のライフスタイルとお店が扱っている商品がリンクしていることですね。
そういったバイイングをしているバイヤーが一番強いと思っています。
-自分の欲しいものを自分で買い付けるということですか?
金子)
そうですね、バイヤーは買い付けることが仕事なので、ブランドを理解することがまず重要です。
売れるか売れないかで判断すると長続きしません。
例えば、私の場合、傘がとても好きです。(笑)
(良い傘を見つけたら)これをお客さまに伝えたいと感じます。
ファッションのトレンドも加味しながらこれだったらお客も驚いてくれる、喜んでくれるだろうなと思ったとき、
バイイングをするようにしています。
サプライズ的なことも結構考えていますね。
-そうなんですね!
金子)
ヴァルカナイズ・ロンドンの取り扱う商品の場合、歴史や伝統など事実をしっかり伝えるだけでとても魅力的になる。
そういうブランドの商品でも、より魅力的なアイテムを買い付けられるのか、ブランド側と一緒に作っていけるのかが大事ですね。
それから買い付けでは、交渉力も重要ですね。
相手をどれだけやる気にさせるかが大事だと思います。
ヴァルカナイズ・ロンドンの場合、日本で英国ブランドだけを取り扱っている特色もありますので、ヴァルカナイズ・ロンドンがどういうブランドだというのを取引先に伝えて、「良いお店だね」という気持ちになってもらえれば協力してくれるブランドも増えてきます。
ブランド側が協力してくれるから成り立っていて、店舗だけだと成り立たないですよね。
いかに今のイギリスのスタイルを日本でエディットしていくか。
できるかぎりイギリスでの認知度や人気度を日本のお客様へ正確に伝えたいなと思っています。
-それはどうしてですか?
金子)
良いものの基準は人の価値観によって異なります。
ヴァルカナイズ・ロンドンでは「本物」を扱っていこうと。
どこかで真似したものではなくて、長い歴史の中、時代に淘汰されることなく、それぞれおスタイルを持っているブランドを大事にしていて、ヴァルカナイズ・ロンドンではお客様にご紹介しています。
お客さまと商品と店舗の繋ぎ役がバイヤーの仕事だと思っています。
バイイングしておしまいではありません。
買い付けた商品がお客さまの手に届き、お客さまにとって人生の友になれるような商品になってくれることが、醍醐味だと思います。
まとめ
インタビュー前半は、金子さんご自身のご経歴やヴァルカナイズ・ロンドンでのバイヤーのお仕事についてお伺いしました。
後半ではセレクトショップ「ヴァルカナイズ・ロンドン」のことやバイヤーのこだわりについて迫っていきます。
▼ 【ヴァルカナイズ・ロンドン/金子昌史氏インタビュー後編】「お客さまと商品と店舗の繋ぎ役がバイヤーの仕事だと思っています」▼
https://fashonablecormorants.com/shop/interview-vulcanizelondon-2/
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取材・文/田中 撮影/桜井